コロナに対する新薬として期待できる⁉︎ アビガンに副作用はあるの?
新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的拡大をみせており、各国はその対応に追われています。
日本も例外ではなく、自粛要請を出すなどし、対応しています。
ここまでの脅威に人類が晒されている一因に、このウイルスに対する薬がないということが挙げられると思います。
世界各国の研究機関や医療機関で日夜、開発や臨床試験が行われていますが、効果が期待できるものもいくつかあります。
そのひとつが日本のメディアでも多く取り上げられております「アビガン」という薬です。
※写真はアビガンではありません。
今回は、アビガンという薬がどのようなものなのか、副作用があるのか、などについてお話ししていきたいと思います。
アビガンって何?
アビガンは、一般名でファビピラビルとも呼ばれます。
レムデシビルと同じく抗ウイルス薬に分類される薬で、ウイルスの侵入や増殖を防ぐ効果が期待できる薬です。
日本でも、安倍首相が「5月中の承認を目指す」と発言するなど、新型コロナウイルスに対抗する新薬として期待されています。
レムデシビルについてはコチラを参考にしてください。
しかしレムデシビルは日本において承認されたものの、アビガンに関しては未だに承認されておりません。
というのも、「新型コロナウイルスに対する新薬として科学的根拠が乏しい」という指摘があるそうなのです。
専門家や厚生労働省などから、慎重論もあがっているともいいます。
とはいえ、中国の臨床試験において良好な結果を得たとも言われており、期待も高まったこともあります。
また、感染した俳優の石田純一さんの治療にも使用され、回復したとも言われています。
一方で、「一般のインフルエンザでさえ有効な効果が得られない」「効かないことはないが、効くという科学的根拠がない」などの声が医療関係者からあがっているともいいます。
もちろん、どんな薬も万人に効くものなどはないと思いますが、私などのような一般人から見れば、「効かないことがあっても有効な結果もあるなら使っても良いのでは?」と思えるような薬です。
なぜ使用や承認に対して厳しい声や慎重論があがるのでしょうか?
アビガンをめぐる現実
アビガンが開発され承認申請が出された当時、抗インフルエンザ薬の新薬としての期待とは裏腹に、製薬業界関係者たちの間では冷めた声が囁かれていたといいます。
それはアビガンには薬としては致命的な欠陥があったからです。
その欠陥とは「催奇形性」です。
催奇形性リスクとは、妊婦に投与したときに胎児に奇形が起きるリスクのことです。
催奇形性リスクは、現代の新薬開発には致命的な欠陥です。
以前、1950〜60年代にサリドマイド薬害事件という「催奇形性リスクを持った睡眠薬サリドマイドによって約20万人もの被害者を出した薬害事件」がありました。
新薬の開発や承認において安全性が最優先されるべきことは当然ですので、このリスクを抱えた薬はそう簡単に承認するわけにいかないことも当然です。
ひとつ間違えば、大惨事につながる恐れもあるのです。
すでに抗インフルエンザ役としてはタミフルなどが存在しており、このようなリスクのある薬ですので、その後の研究や承認は頓挫しそうな気もするのですが、なぜ今のような状況でも名前が挙がるほど「生き残っている」のでしょうか?
実は、アビガンはタミフルのような既存の薬とは作用メカニズムが異なっているようなのです。
作用メカニズムが異なれば、すでにあるタミフルに耐性を持ってしまったウイルスに対しても効果が期待できるのではないか、と期待できるからなのです。
実際、タミフルなどの既存の抗インフルエンザ薬で効果がみられなかったときに、使用する薬ともされているといいます。
現在アビガンの使用については、各医師の責任において、また患者に対しては十分な副作用の説明をし、リスクを覚悟していただいた上で使用されています。
(※厚生労働省の承認がなされていなくても、保険適用外ということで使用することはできます。)
上記のような問題を抱えたアビガンですが、「この新型ウイルスに効くかもしれないから使うべきだ」、「重大なリスクを抱えた薬は使えない」、このジレンマをどう対処するのか非常に悩ましい問題です。
過去においても、サリドマイド事件、薬害エイズ事件などの人類には負の歴史がありますから、厚労省が慎重になってしまうのも無理はないと思います。
もちろん、外国と日本の薬に関する承認スピードの違いや、承認プロセスや基準の違い、改善するべき問題など、「薬の承認」に関する問題はひとつの側面からではなく、多角的な見方で論ずる必要があると思います。
一概に「政府はぐずぐずしてないで、早くアビガンを承認しろ」と言えないようにも思います。
最後に
アビガンにはこのような事情があったのですね。
もし自身が新型コロナウイルスだけでなく、未承認薬が必要と思われる病気にかかってしまったらどうするのか、考えてみる必要があるように思います。
できれば、薬に頼らず健康な生活を送りたいものです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。